実は謎多き素材!? 帽子の帽体に使われる「ケンマ草」とは?

2025/07/18

  • 帽子コラム


あなたはケンマ草(ケンマソウ)の帽子を見たことがありますか? 帽子業界の中にあっても、それほど見かけることの多い素材ではありませんが、どこか気になる存在ではあります。

そこで今回は、ケンマ草(ケンマソウ)の帽子について調べてみました。

ケンマ草の正体は、苧麻(ちょま/ラミー)!?

ケンマ草(ケンマソウ)は、帽子の素材に用いられる天然繊維です。古くから、衣類、袋物、敷物などに活用されてきました。

ケンマ草(ケンマソウ)の「ケンマ」には、「剣麻」という漢字があてられ、「剣麻草」と表記されることもあるようです。

帽子業界においては、ケンマ草(ケンマソウ)は、その特徴や用途から「麻の一種」と捉えられています。

但し厳密には「ケンマ草(ケンマソウ)」とは植物名ではなく、帽子業界的な通称であり、実態としては苧麻(ちょま/ラミー)のことを指していると考えられます。

苧麻(ちょま/ラミー)は、靭皮(じんぴ)繊維に分類される素材です。靭皮繊維とは、植物の茎の内側の繊維質部分から得られる、通気性や強度に優れた天然素材のことです。

その特徴は、繊維が硬くてハリやコシが強く、自然な光沢感とシャリ感があること。乾燥させると、軽量で通気性がよく、吸湿性・放湿性に優れた素材になる点などが挙げられます。

ケンマ草の帽子の魅力は、軽さ、涼しさ、染色性の高さ

ケンマ草(ケンマソウ)を帽体に用いた帽子の魅力は、その軽さと通気性のよさにあります。

繊維が細いため、しっかりと編み込んでも適度に空気が通ります。そのため蒸れにくく、夏場の着用に適しています。

また、繊維自体に適度なハリとコシがあるため、クラウン(頭頂部)やブリム(つば)の形状を美しく保つことができ、型崩れしにくいことも魅力です。

さらに、ケンマ草(ケンマソウ)特有の自然な光沢は、編み目に奥行きと立体感を与え、素朴さとともに上品な印象を演出します。

また天然素材の中では比較的染色しやすく、ナチュラルな生成色からパキッと鮮やかなカラーまで、多彩な表情を引き出せることも大きな魅力です。色展開も豊富になる傾向があります。

こういった特性から、ケンマ草(ケンマソウ)を帽体に用いた帽子は、機能性と美しさを兼ね備えた実用的な夏帽子として高く評価されています。

圧倒的な軽さと、味のある帽体カラーで、夏コーデを牽引

ケンマ草を素材に使った帽子は、軽さ涼しさといった実用性、ナチュラルな風合い、魅力的な帽体カラー、それら全てを兼ね備えた、夏のおしゃれにぴったりのアイテムです。

軽やかで通気性にも優れているため、暑い季節でも快適に過ごすことができます。これにより、身に着ける人に、心地よいかぶり心地と開放感をもたらしてくれることでしょう。

ケンマ草の帽体には、自然な光沢感と素朴な編み目の美しさがあり、正統派のメンズ中折れハットのスタイルであっても、どこかほっとするようなぬくもりを感じさせます。

また、キレイめのコーディネートに合わせても、程よくナチュラルな抜け感をプラスしてくれる存在です。

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