そもそも「帽子」という言葉の由来・語源って何だろう?
2025/07/31
- 帽子コラム

この業界の内外にかかわらず、普段当たり前のように使っている「帽子」という言葉ですが、その由来や語源について考えたことはありますか?
そこで今回は、春夏秋冬のおしゃれに欠かせない帽子というアイテムに関して、その「帽子」という言葉のルーツについて、改めて調べてみました。
日本語の「帽子」の、由来・語源・発祥・起源は?
「帽子」の「帽」は、元々「頭を覆う布やかぶりもの」を意味する漢字です。
左側(=へん)の「巾」は、はばへん、きんべんなどと呼ばれ、布、布の幅、手ぬぐいなどの意味をもっています。また右側(=つくり)の「冒」には、おおう、おおいといった意味があります。

つまり「帽」という字単体でも、「ぼうし」「ずきん」「かぶりもの」などを意味します。用例としても、着帽、脱帽、角帽、学帽などがあります。
それでは「帽子」の「子」は、どんな意味なのでしょうか。これは、道具や小物を表す名詞語尾として広く使われているものになります。帽子の他には、椅子(いす)、扇子(せんす)などが代表例になります。
ここで少し余談になりますが、「子」が付く2文字の漢字の言葉といえば、孔子、孟子、荘子、孫子といった中国の歴史上の偉人たちの名前が思い浮かびます。
これらの「子」は、よく知られているように、「先生」「師匠」を意味する尊称です。
一方では「小物=小さいもの」を表す文字が、どうして「尊称」につながるのか、少々不思議な感じがしますが、これは、古代中国において王侯貴族の「子」が周囲の人々にとって敬意を表すべき「高貴な存在」であったことに由来するとの説があります。
帽子の種類名としてもおなじみの外国語のルーツは?
それでは、外国語で帽子を意味する言葉・名称についてはどうでしょうか?
- hat(ハット)
- cap(キャップ)
- beret(ベレー帽)
- casquette(キャスケット)

まず、現代では「つばのある帽子」を指す「hat」(ハット)です。
英語のhat(ハット)は、約1,000年以上前の 古英語に由来し、上で紹介した漢字の「帽」と同様、「頭を覆うもの」全般を指していました。その前はドイツ語系の言語群で使用されたゲルマン祖語、さらにインド・ヨーロッパ祖語が語源と推定されています。
元々は「保護」や「覆う」機能を持つ実用品として用いられ、そこから時代が進むにつれて、ファッションや社会的地位の象徴としての意味も帯びるようになっていきました。

次に、現代では「カジュアルな帽子」を指す「cap」(キャップ)です。
英語のcap(キャップ)は、古典ラテン語caput(頭)に由来し、そこから中世フランス語や古英語を経て、現代英語のcap(キャップ)に変化したとされています。
古典ラテン語の「caput」は“頭”を指す言葉であり、そのイメージから「頭にかぶるもの=帽子」という意味で使われるようになったと考えられます。
同じ語源からは、「captain(キャプテン/船長・隊長)」や「capital(キャピタル/首都・資本)」といった単語も派生しています。

軍人や、画家・漫画家・芸術家のイメージもあるベレー帽はどうでしょうか?
ベレー帽のberet(ベレー)は、フランス語に由来し、さらにその語源は南フランスの地方語であるオック語にさかのぼるといわれています。
またさらにこのオック語の言葉は、ラテン語に起源を持つとされ、元々は「厚手の布で作られた頭を覆うもの」といった意味があったそうです。
こうした語源的な背景から、ベレー帽は「柔らかくて平たい丸型の帽子」として発展し、実用性とデザイン性の両面で評価されてきました。

ハンチングと並ぶカジュアルキャップの代表格ともいえるキャスケットはどうでしょうか?
casquette(キャスケット)は、フランス語に由来する単語です。元々は「小さなヘルメット」「小ぶりな帽子」を意味し、さらにその語源はラテン語で「頭の覆い」や「兜(かぶと)」を意味する言葉にまでさかのぼるとされています。
キャスケットは、英語圏では、news boy cap(ニュースボーイキャップ)、baker boy cap(ベーカーボーイキャップ/ベイカーボーイキャップ)などとも呼ばれ、ふんわりとしたシルエットで男性女性(メンズ・レディース)を問わず人気があります。