スタイルと暖かさを両立: 秋に選びたい素材ガイド

ライター:クシシュトフ・イヌスキー  監修:松はじめ

Tシャツ一枚で過ごすしかない暑すぎる日々もようやく過ぎ、さまざまなおしゃれを楽しめる季節の到来です。

そこで今回は、服の3大要素のひとつである“素材”にフォーカス。秋におすすめの特性や特徴を生かした着こなし方などを交えてご紹介していきます。

これまで服と素材の関係にあまり関心がなかった方も、秋のコーデをブラッシュアップしたい方も、ぜひご一読ください。

■ウールの魅力

(出典:https://unsplash.com/ja/%E5%86%99%E7%9C%9F/Qjan7xf81iE)

紀元前より、毛織物として人間の身近に存在してきたウール。メリノ種などの羊の毛を原料とし、保温性や吸湿性、防しわ性に優れます。また光沢感やドレープ感も併せ持っているため、ウールのジャケットやパンツを取り入れるだけでスタイリングが上品に仕上がるのも魅力です。

さらに昨今では、サステナブルな素材としても再び注目を浴びています。

ウールを使ったおすすめのコーデ

(出典:https://unsplash.com/ja/%E5%86%99%E7%9C%9F/sXm7Y8fzfBc)

秋の肌寒さにはウールと相性のよいコートを選択。今季のトレンドのひとつ、チェック柄をブリティッシュなムードで取り入れて、こなれ感のある紳士スタイルを楽しんでみましょう。

色は季節感の出るベージュや話題のグレーがおすすめ。ステンカラーコートやトレンチコートなどから薄手のウール地の一着を選んで、重すぎない秋コーデを作るのがポイントです。

・着用の目安:10月下旬~11月頃

合わせたい帽子

トラッドなコートスタイルには、今っぽさのあるバケットハットをぶつけて遊んでみます。80年代や90年代のストリートを彷彿とさせるギャップが、スタイリングにメリハリをつけてくれること間違いなしです。

ただしカジュアル感の強い帽子なので、選ぶ際は慎重に。上品な素材や落ち着いた色で大人の雰囲気を崩さないようにするとしっくりとハマります。

■コットンの重要性

(出典:https://unsplash.com/ja/写真/VBf7RPTezEc)

現在はインド、アメリカ、中国での生産が盛んなコットン(綿)。安価で丈夫、そして吸水性と吸湿性が高いことから、肌着からデニムパンツまでさまざまな製品に使われています。

意外にも保温性が高く、またレザーやウールといった素材とも相性がよいことから、秋のシーズンも手放せません。静電気が起きにくいので、秋花粉の付着を抑えたい方にもイチオシです。

コットンを使ったおすすめのコーデ

(出典:https://unsplash.com/ja/%E5%86%99%E7%9C%9F/7BfiT4AnL34)

「季節感のあるスタイリングをしたいけれど、ウールのアウターにはちょっと早い」そんなときはネルシャツの出番です。薄着の着こなしにも、起毛された生地が秋らしい雰囲気を醸し出してくれます。

野暮ったさの回避にはダークカラーでまとめるか、オレンジ×ネイビーといったキレのあるカラーでストリート色をプラスしてみましょう。またミリタリー系に寄せるのもおすすめです。

・着用の目安:9月下旬~10月頃

合わせたい帽子

ワークウエアやカルチャーアイコンとしてアメリカで花開いたネルシャツには、アメリカンカジュアルの代名詞であるベースボールキャップが断然似合います。少し派手目のコーデでも、シャツに使われている色と帽子の色をリンクさせれば、むしろこなれた印象に!

もちろん全体をまとめるべく、ブラックやグレーで大人っぽく仕上げるのもグッドです。

■カシミヤの贅沢な暖かさ

(出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/3923208&title=%E3%82%AB%E3%82%B7%E3%83%9F%E3%83%A4%E3%82%A6%E3%83%BC%E3%83%AB)

中国やモンゴル、インドなどの高地に生息するカシミヤヤギから採れるカシミヤ繊維。古くはローマ皇帝に、時代が下ったイギリスやフランスでは上流階級に愛されてきたこの素材は、今日でも高い保温性とその希少性によって高級織物として流通しています。

肌触りのよさと軽さも特筆もので、秋のアイテムとしてはマフラーやセーター類が大変に人気です。

カシミヤを使ったおすすめのコーデ

(出典:https://unsplash.com/ja/%E5%86%99%E7%9C%9F/a1M86hBvYBk)

ドレッシーなテーラードスタイルが盛り返しを見せる今、高級素材のカシミヤは上質なセットアップで取り入れてみたい気分。せっかくですから、トレンドのダブルブレストにしゃれっ気のあるストライプでだて男を気取ってみましょう。

一方、インナーには軽めのカットソーを合わせて、暑すぎず寒すぎずな秋コーデにトーンダウンを。リラックスした着こなしは人受けも良好です。

・着用の目安:10月~11月上旬頃

合わせたい帽子

クラシカルなテーラードコーデには、これ以上ない相性のフェルトハットがぴったり。素材はラビットやビーバーを選ぶと、カシミヤの持つ柔らかでなめらかな質感と調和が取れます。

とはいえ、やり過ぎると迫力が出てしまうので、ボディで引き算をしたように帽子ではリボンなしや切りっぱなしのリムなどでバランスを調整するのがよいでしょう。

■レザーの存在感

(出典:https://unsplash.com/ja/%E5%86%99%E7%9C%9F/UWkvDN4fPhQ)

レザー(革)は、現生人類の祖先が生きていた旧石器時代より、動物の皮を加工して用いられてきた大変に古い付き合いのある素材です。現在も流通するものの多くが食肉加工の過程で生まれていることも、そのことを物語っています。

特徴は独特の光沢感と肌馴染みのよさ、そして防風性の高さ。ゆえに秋はアウターやボトムス、シューズを中心に使用されます。

レザーを使ったおすすめのコーデ 

(出典:https://unsplash.com/ja/写真/stGjOPEAqug)

強い風を感じる日は、レザージャケットで寒さをシャットアウト! ブルゾンタイプならば首元や袖口からの冷気対策もばっちりですし、パーカーをインさせるような重ね着にも重宝します。

足元には質感を合わせたレザーブーツ、ボトムスにはブラックと相性のよいカーキのパンツをインストール。ミリタリー寄りなスタイリングも、レザーの質感が泥臭さを払拭してクールにまとめ上げます。

・着用の目安:10月~11月下旬頃

合わせたい帽子

ワイルドなレザージャケットのスタイルには、キャスケットを重ねてアウトロー感を加速させたいところ。古くは『パラダイスアレイ』のシルベスター・スタローン、近年ではデイビッド・ベッカムなども着こなしたコーデで、大人の渋さを遊んでみてください。

素材はレザーやウールツイード、カラーは王道のブラックやダークグレーがおすすめです。

■素材のレイヤード

(出典:https://unsplash.com/ja/%E5%86%99%E7%9C%9F/HF0O7lhhMBU)

最後は素材と素材のレイヤード、つまり重ね着についてです。何やら難しそうな響きですが、例えばコットンのYシャツにウールのカーディガンを重ねる着こなしはお馴染みですよね。またコットンのスウェットにコットンのカットソーという同素材も立派なレイヤードに含まれます。

一方で異素材をパッチワークしてレイヤード風に見せたシャツやジャケットも、昨今では大変に人気です。

素材をレイヤードしたおすすめのコーデ

 (出典:https://unsplash.com/ja/写真/3n8Rhk9-wqc)

ベースは、秋に頼りになる防寒性とリラックスした雰囲気を併せ持つウールのタートルニット。そこへ質感の異なるシャツをレイヤードして、立体感もプラスされたこなれ感のある表情を楽しんでみます。

ダークカラーが街に増えてくる季節こそ、あえてのカラーシャツも垢抜けていい感じです。使う色を3色までに抑えると、こうした重ね着コーデも大人っぽく攻略できます。

・時期の目安:10月頃

合わせたい帽子

(出典:https://www.tokiyado.com/c/knitcap/se570-CharcoalGrey)

タートルニットとシャツだけだと寒そうに見えないか心配……。そんなときは帽子の出番です。インナーの質感に合わせてニット帽を選べば、ほどよい季節感でこのコーディネートを着こなせますよ。

ただし真冬に使うような生地では重く見えてしまうので、ハイゲージのビーニーや薄手のニットワッチを選んでみてください。

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Writer執筆者紹介


松 はじめ

松 はじめ

東京・表参道のオーダーサロン「ボットーネ」オーナー。
20代で起業し、政治家、経営者、芸能人、プロスポーツ選手など自身も3,000人以上の仕立服を手がける。
映像制作、企画を行う株式会社メディコ代表。
YouTubeチャンネル「メンズファッションTV」をはじめ、オンラインスクール運営やブログなどで情報発信を行う。
著書に、リセット仕事服(技術評論社)

リセット仕事服(技術評論社)