ビジネスからカジュアルまで、スタイリッシュなメンズブレザーコーディネート完全ガイド

ライター:クシシュトフ・イヌスキー  監修:松はじめ

2024.05.21

ストリートカジュアルから一転してトラッドスタイルが主流の昨今。おしゃれな人たちの間では、ブレザーを使ったコーディネートが人気を集めています。昔流行ったなぁという方も、一度も着たことがないという方も、この機会にトライしてみませんか。

今回は「完全ガイド」と称して、コーディネートのコツから合わせたい小物、サイズ選びのポイントまで、ブレザーに関する情報を幅広くご紹介します。

ブレザーとは?

広くはスポーティーなジャケットを意味するブレザー。狭義にはアメリカントラッドを代表するような金ボタンやエンブレム、前張りポケットの付いたネイビーのウールジャケットを指します。

今回のテーマであるブレザーは後者。その歴史は、イギリス海軍のブレーザー号の船員が着ていたものに由来するとも、19世紀にケンブリッジ大学の学生たちが母校のカラーのジャケットを着たことに始まるとも言われています。

現在はシングル、ダブル問わず、色柄・素材に凝ったデザインも人気です。

ビジネスシーンでのブレザーコーディネート:スマートな着こなし

ブレザーのポイント

オンシーンにも定番のブレザーですが、ともするとカジュアルに仕上がってしまったり、学生っぽく写ってしまったり……。こうした失敗を避けるためにも、まずは大人っぽい一枚を選ぶところから始めてみましょう。

具体的には、段返り3つボタンのシングルや4つボタンのダブルというスタンダードなデザインで、体にほどよくフィットしたもの。装飾はシンプルにメタルボタンだけ、生地は上質なフラノやトロピカルウールの無地が定番です。

防シワ性や消臭機能も捨てがたいという方は、化繊でもウール調のものを探してみてください。

スタイルのポイント

インナーにはネクタイを締めたシャツ、ボトムスにはスラックス、足元にはレザーシューズが基本です。また今どきのビッグシルエットによるHラインではなく、体に適度にフィットしたIラインで全身をまとめるように意識してみてください。目指すは、フォーマルかつエレガントな大人の男です。

アイテムの例:

  • シャツ:上着のネイビーと相性のよい、品のあるホワイトや爽やかなブルーカラー。スタイリッシュなストライプ柄やタブカラーなどで少しだけ遊び心を加えるのもOK。
  • ネクタイ:定番のレジメンタルや小紋柄などから、シャツとパンツに合った色柄のもの。
  • スラックス:グレーやチャコールグレー、秋冬なら細かなグレンチェック柄もアリ。素材はウールか高密度のコットン。
  • レザーシューズ:アイビールックの定番ローファーやプレーンチップ、ウイングチップなどから、ブラックやブラウンカラーのもの。

カジュアルなデイリーコーディネート:ブレザーを使ったリラックスしたスタイル

ブレザーのポイント

ビジネスで使用しているブレザーを流用しても構いませんが、アンコンスタイル(肩パッドや芯地のないもの)やコットン製の軽やかな一枚をデイリー用として選んでみるのもおすすめです。特にインナーにパーカーやカットソーなどを合わせてラフに着たい場合、チグハグな印象にならず重宝します。

カジュアルコーディネートにネイビーブレザーを着るとオンシーン以上に学生っぽく見えてしまうという場合は、大人の貫禄をプラスしてくれるダブルブレストを選んでみましょう。ノーネクタイでも不思議とキマります。

スタイルのポイント

インナー、ボトムス、シューズいずれにも“これ”という指定はありません。ノーネクタイのシャツ×チノパンツ、あるいは薄手のニット×レザースニーカーを合わせたオフィスカジュアルにも使えそうなきれいめスタイルもよし。パーカー×カーゴパンツをぶつけたアメカジスタイルもよしです。

シルエットも定番のIラインから男っぽいAライン、今どきのHラインまで自由に選択して構いません。ただし、品や清潔感を伴ったコーディネートになるようには注意してみてくださいね。

スタイリングの例:

  • ブレザー×ホワイトのスウェット×ベージュのチノパンツ×ホワイトのスニーカー  
  • ブレザー×ボーダー柄のロングカットソー×ブルーデニム×ブラックのローファー
  • ブレザー×シャンブレーシャツ×グリーンのカーゴパンツ×ブラックのレザーシューズ

小物で個性的に。ブレザーに合わせるべきアイテム

メガネ:ウェリントン、ボストン

ブレザーはアイビールックを象徴するアイテムです。となれば、同じくアイビーを体現した小物が好相性なのは言うまでもありません。

おすすめするのはオン・オフ使えるメガネです。代表的なものは、台形が逆さまになったような形のウェリントン、丸型のボストンなど。いずれもクラシックな雰囲気のセルフレームを選べば、気分はもう1960s。コーディネートもグッとこなれて仕上がります。

帽子:ベースボールキャップ

トラッドスタイルが大流行りの昨今、人気を集めているのがネイビージャケットにベースボールを合わせるコーディネートです。

プレッピースタイルなどでは王道的な組合せですので、個性的に映りながらも取り入れるハードルは高くないのがうれしいところ。時代はシンプル路線にシフトしているものの、ここではカレッジロゴなどが入った“いかにも”なアイテムでおしゃれを楽しんでみてください。

ブレザーの選び方とサイズ合わせ:理想のフィット感を見つけるためのポイント

ブレザーもジャケットのひとつですから、サイズ選びの基本的な考え方は同じです。一方で“ならでは”のポイントもあるので、順に確認していきましょう。まずは肩幅とブレザーの幅が合っているかを確認します。適正なサイズでないと肩や二の腕周りにシワが入るので、ひとつの目安にしてみてください。

身幅については、自分のこぶしがひとつ入る程度がジャストです。ただし紺ブレザーはアメリカンなボックスシルエットのものも多く、上記のサイズ感に当てはめることができない場合があります。その際は、だらしなく見えない程度のフィット感で選んでみましょう。

最後の着丈は、お尻が隠れる程度の長さを選びます。クラシックなデザインのブレザーは着丈が長めですから、この辺りは問題ないでしょう。かつてはお尻の一番出っ張った部分が隠れるくらいと言われていましたが、現在のトレンドは長めであることも添えておきます。

まとめ

トラッドスタイルに欠かすことのできないブレザーは、オンにもオフにも大活躍の超優秀アイテムです。学生っぽくみえてしまう、どんなコーディネートが正解なのかわからないといったお悩みも、今回ご紹介した内容を押さえていただければ大丈夫。早速ブレザーを身にまとって、すてきな大人の男を演出してみてくださいね。



Writer執筆者紹介


松 はじめ

松 はじめ

東京・表参道のオーダーサロン「ボットーネ」オーナー。
20代で起業し、政治家、経営者、芸能人、プロスポーツ選手など自身も3,000人以上の仕立服を手がける。
映像制作、企画を行う株式会社メディコ代表。
YouTubeチャンネル「メンズファッションTV」をはじめ、オンラインスクール運営やブログなどで情報発信を行う。
著書に、リセット仕事服(技術評論社)

リセット仕事服(技術評論社)