ELOSEGUI(エロセギ)ブランド紹介
エロセギは、ベレー帽の起源とされるスペイン・バスク州で現存する唯一の帽子メーカー。創業は1858年で、実に150年の歴史を有しています。ヨーロッパをはじめとして、アメリカやアジア各国においても高いシェアを誇る国際的企業でもあります。そんなエロセギが提案する伝統的なベレー帽は、卓抜した高品質と美しいデザインを特徴としており、世界中で高い評価を集めています。
エロセギ ブランド紹介
ベレー帽のエロセギの歩み
1858年 ― エロセギの創業
エロセギの歴史は、今からおよそ150年前、1858年に始まります。
この年、スペイン・バスク地方のトロサにて、ANTONIO ELOSEGUI(アントニオ エロセギ)によって会社が設立されました。当時の社名は、チャンスを意味する「NACE(ナイス)」。同社は、織から仕上げ作業まで、ベレー帽に関する全ての工程を一括して行う一貫生産体制により、徹底した品質管理と柔軟な製作力を発揮しました。
こうして、後に世界的な評価を獲得する、伝統ベレー帽を製造するバスク地方最古の帽子メーカーとして、第一歩を踏み出したのです。
1878年 ― 事業拡張
エロセギによるベレー帽の品質やデザインは、ベレー帽の本場・バスク地方において大きな評価を獲得し、同社は順調に事業を拡大させていきます。
1878年には、さらなる帽子製造技術の発展と事業規模の拡大のため、大規模な機械を工場に導入。工場内には当時最先端であった様々な機械が立ち並ぶようになります。
当時の同社の帽子製造を支えていたこれらアンティーク・マシンは、現在でもエロセギにて稼働を続けており、百年以上前の古きよき時代の物作りの伝統を受け継いでいます。
1915年 ― 国際的企業への成長
1915年頃には、エロセギのベレー帽の評判はスペイン国内に留まらず、諸外国の人々の目にも留まるようになります。いよいよ同社が、世界に向けて羽ばたくときが来たのです。
スペイン、フランス、ドイツ、イングランド、アメリカ、南アメリカ、フィリピンなど、各国との取引がスタート。ベレー帽の故郷・バスク地方における老舗メーカーとして、名実ともに国際的企業への発展を遂げていきます。
1918年 ― 更なる飛躍と誇り
国際的企業へと成長したことで、エロセギはさらにめざましい発展を遂げていきます。
1918年には、従業員数も約200人にまで増え、ベレー帽の生産量は一日あたり3500個にのぼりました。
従業員たちの姿を写した当時の記念写真には、自ら手掛けたエロセギのベレー帽を誇らしげに被って撮影に臨む彼らの姿が残されています。ここには、強固な誇りが感じられます。
1920年 ― ブランド名の変更「ANTONIO ELOSEGUI(アントニオ エロセギ)」へ
1920年、エロセギの歴史は60年を超え、元来は一地方の民族衣装に過ぎなかったベレー帽も世界中に広く知られるようになってきました。ベレー帽は、飛躍的にその知名度を高めていったのです。エロセギは、そんなベレー帽の伝統的制作と普及を担う老舗メーカーとして、この逸品に込められた文化や価値を後世に伝承していく必要性を感じはじめました。
こうした志を受け、同社ではエロセギのルーツ復興の気運が高まります。そしてブランド名を創立当初の「NACE(ナイス)」から、創立者の名である「ANTONIO ELOSEGUI(アントニオ エロセギ)」に変更することになりました。
1967年 ― 現在のブランド名「BOINAS ELOSEGUI(ボイナス エロセギ)」へ
1967年、エロセギの歴史は百年を刻み、もはやベレー帽の代名詞ともいえる老舗メーカーとして、世界で確固たる地位を築くようになりました。
そこで、ベレー帽といえばエロセギである、という強い誇りと信念を胸に、スペイン語でベレーを意味するBOINAS(ボイナス)を冠に抱き、ブランド名を現在の「BOINAS ELOSEGUI(ボイナス エロセギ)」へと変更しました。
1979年 ― 工場の移転
1970年には、同社は今後のさらなる発展を見据えて、スペイン・バスク地方のトロサにある3500平方メートルの本社工場を近隣の土地へ移転する他、別地域にも工場を構えます。
写真は伝統的ベレー帽の郷里・トロサの風景です。エロセギのベレー帽は、この美しい土地で生まれるのです。
2008年 ― 150年祭
2008年、エロセギは創立から150年を迎えました。
これを記念し、エロセギでは大々的に「150年祭」を開催。裏地に150年の歴史を証明するクラシックなネームタグをあしらったベレー帽の他、今までのコレクションをまとめた記念碑的な本などを発表しました。
こうした企画はただ単にエロセギの歴史を誇示するだけのものではありません。それは、バスク・ベレー帽の発展史であり、バスク地方トロサにおける繊維業界史であり、そこに従事する労働者達の歴史にも光を当てる、画期的な試みでもあったのです。
「ベレー帽を被る度に、150年の歴史を頭上で感じてもらえれば幸いである」と、当時のインタビューでエロセギのマネージャーは語りました。
2014年 ― 新たな歴史へ
トップブランドの名に慢心せず、培った伝統を知り尽くした上で新しい進化に挑む――ベレー帽の伝統を後世に伝えるエロセギは、さらなるベレー帽の新時代を切り拓くため、飽くなき挑戦を続けています。
2014年には、伝統的なベレー帽「クラシック・コレクション」を発売する一方、次世代を担うベレー帽として「モダン・コレクション」を発表。従来の伝統的な製法をベースに、現代的な感性を大胆に取り入れた斬新なベレー帽は、世界中で大きな反響を呼び起こしました。
1858年の創業から150年余。ベレー帽最古の老舗メーカーエロセギは、他の追随を許さないパイオニア・メーカーとして、これからもベレー帽の普及と発展に貢献してゆくことでしょう。
エロセギのベレー帽制作の様子
ベレー帽のトップブランドエロセギでは、織から仕上げまで全ての工程を自社で一括して行うことで、商品の品質管理を徹底しています。この一貫生産体制こそが、世界に冠たる高水準のクオリティを保ち、魅力的なデザインのベレー帽を生み出す秘訣なのです。
また工場内では、実に百年以上の歴史を有するアンティーク・マシンが現在でも稼働し、伝統的な物作りのスピリットを継承しています。
バスク地方のサン・マーシャル祭
スペイン・バスク地方のイルン市では、毎年6月末に、伝統的な夏祭り「サン・マーシャル祭」が行われます。これは、1522年にバスク地方の民兵軍がフランス軍に勝利した6月30日を記念するお祭りです。街をあげての華やかで壮大なパレードが行われ、大勢の観衆が集まります。
パレードの服装は、赤いネクタイ、腰に巻いた赤いスカーフ、黒いジャケットに白いズボン等が定番ですが、その中でも一際目を引くのが、やはり赤いベレー帽。バスク地方の伝統を重んじるエロセギは、ベレー帽の老舗メーカーとして、このお祭りを応援しています。
ハイクオリティなエロセギのベレー帽
ヨーロッパで最古の企業の一つであるエロセギは、長い歴史に培われた卓越した技術で、老舗帽子メーカーとしての名声を揺るぎないものとしています。
織りから仕上げまで、あらゆる生産工程を一貫して自社工場で行う徹底した生産管理により、比類なきベレー帽を世界に提供。珠玉の高品質なベレー帽を通じて、全世界の帽子ファンを魅了し続けています。
そしてこの度、当店では、満を持して皆様にこれらの帽子をご紹介できる運びとなりました。
日本の帽子ファンの方々に、150年の歴史と伝統を誇るハイクオリティなエロセギのベレー帽をお届けできることは、当店にとっても幸運の極み。自信を持っておすすめいたします。
最高級のベレー帽がもたらす、他では得ることのできない満足感を、ぜひご自身でお確かめください。
エロセギのベレー帽の主な素材
エロセギのベレー帽は、本場スペイン・バスク地方に生まれた伝統的製法をベースに、創立以来150年の経験によって磨き上げられた技術を惜しみなく注ぎ込まれて完成に至ります。ここでは、エロセギのベレー帽の制作に用いられる主な素材をご紹介いたします。
エロセギにおけるベレー帽の主な素材
ウール
伝統的なベレー帽は、木型の上にウールフェルトを放射状に並べて作られます。
ウールフェルトとは、羊毛を使ったフェルトの総称です。特徴は、温かく伸縮性に優れ、汚れにも強いこと。そのため、この天然素材は、古来より各地で愛用されてきました。撥水性があり吸湿性が高く、ソフトな肌触りが衣類に適しています。また、摩擦に強く耐久性があることもウールの魅力です。
ウールと言えば秋冬の素材と思われがちですが、吸放出性が高く、いわば天然のエアコンのような効果をもつ素材であるため、真夏以外の時期であれば快適に着用できます。
メリノウール
エロセギのベレー帽には、羊毛の中でも最高級とされるメリノウールを使ったものもあります。
メリノウールは、メリノ種の羊からとれる羊毛です。他の種類の羊毛に比べて繊維が細く、長さも均一、そしてしなやかでふんわりとした肌触りが特徴です。外観には、薄く軽く、美しい光沢があります。その心地よい質感と、見た目の高級感で広く知られています。
メリノウールの中でもグレードの高い「エクストラファインメリノ」を用いた最高級のベレー帽もあります。このエクストラファインメリノは、メリノウールの中でも抜きんでて繊維が細く、高級スーツや最高級のニットウェア、ドレスなどに用いられるものです。
アンゴラ
アンゴラは、トルコのアンカラ地方原産のウサギであるアンゴラウサギの毛で作った高級織物素材です。長く光沢のある毛を用いたアンゴラは、やわらかく温かで、魅惑的な肌触りを生み出します。
アンゴラの毛は中空繊維であるため魔法瓶のような断熱性があり、ウールよりも優れた保湿力をもつのが大きな特徴です。また細い繊維の撚りは毛細管現象を発揮し、汗をすばやく吸収して蒸散させるので、ムレずに快適。加えて、ウールより軽い点も大きな魅力です。
アンゴラの毛の表面にはキューティクルがないため、他の毛と比べてチクチクしないという利点があります。しかし同時に、キューティクルがないため、混紡せずにアンゴラ100%で毛を紡ぐことができません。一般的にはウールと混紡して用いられます。
基本的にウール100%で作られているエロセギのベレー帽ですが、上記のような理由から、中にはアンゴラとの混紡を用いているものがあるのです。
ベレー帽とは
ベレー帽の特徴と歴史
ベレー帽の起源は、一般に、フランスとの国境に位置するスペイン・バスク地方の民族衣装にあると言われています。
(*隣接するベアルヌ地方が発祥との説もあります。)
ファッションツールとして世界中で普及している他、各国の軍隊でも用いられています。また、芸術家や漫画家に愛好家が多いことで知られています。
ベレー帽の大きな特徴は、ブリム(つば)や縁がなく、平たい丸型をしていること。素材の多くはウールですが、近年ではニットやコットン等、材質の幅も広がりを見せていて、様々な種類やデザインを楽しむことができます。
ベレー帽は、万能な帽子です。服装やヘアスタイルを選ばず、老若男女を問わず被ることができます。そのコンパクトな形状は、脱帽時に邪魔にならず、持ち運びにも適しています。一つ用意しておけば、様々なシーンで活躍してくれるファッションアイテムになるでしょう。
ベレー帽の種類
バスク・ベレー
多くの方がベレー帽と聞いてまず思い浮かべるのが、このバスク・ベレーではないでしょうか。ベレー帽の起源は、15~16世紀に聖職者が用いた角帽(ビレッタ)がバスク地方の農民の間で普及したものと言われています。
形状は伝統的かつ最も一般的で、当初は日よけ・風よけなどの実用品として用いられていました。
あくまでもバスク地方の一民族衣装に過ぎなかったベレー帽ですが、この地を訪れたナポレオン3世が「ベレー・バスク」と呼んだのをきっかけに、フランス、スペインをはじめとして世界中に広まっていきました。
バスク・ベレー最大の特徴は、クラウンのトップに付いている「チョボ(短いひも状の飾り)」です。伝統的なベレー帽は、木型の上にウールを放射状に並べて作られます。そして最後に、束ねたウールの中心部分を切り落としますが、この残りがチョボになるというわけです。現在では製法によらず、ベレー帽を象徴する飾りとしてつけられることもあります。
また、内側にビン革(スベリ)があることもバスク・ベレーの特徴です。
帽子の形が頭の形に近くて被りやすく、見た目のクセも少ないためどなたにでも似合いやすい、使い勝手のいい帽子と言えるでしょう。
アーミー・ベレー
第二次世界大戦以降、軍隊の制服として使われるようになったベレー帽で、「ミリタリー・ベレー」等とも称されるものです。これをイメージしたデザインのベレー帽が一般にも広く普及し、ファッションアイテムとして愛用されるようになりました。
アーミー・ベレーにはチョボやスベリがなく、バスク・ベレーにはない縁取りがある点が特徴になります。
アーミー・ベレーは、バスク・ベレーよりも角ばったシルエットを持ち、カッチリとした男性的な印象を与えてくれます。その名の通り、アーミースタイルのファッションによく似合いますが、制服の一部として着用されているように、品位のある服装にも合わせることのできる帽子です。
ベレー帽の種類は大別するとこの二つのスタンダードになりますが、現在ではデザインや素材のバリエーションも豊富になり、この枠組に収まらないアイテムも多数登場しています。
用途や好みに合わせて多くの選択肢が用意されているところも、ベレー帽の魅力です。ぜひ、これぞと思われるアイテムを見つけて、あなただけのファッションをお楽しみください。